東海大学 画像診断科
消化管出血を来たした症例では一般的な上下部内視鏡を施行する事が多い。内視鏡で小腸出血が疑われた場合、画像診断やIVRなど放射線科が介入する場合も多い。今回、当院で過去に画像診断し得た小腸出血症例でIVRを施行した2症例について若干の文献的考察を加え報告する。症例1は33歳男性で便潜血を主訴に来院。dynamic CT上では単純CTにて小腸内は淡い高吸収域を呈するが造影剤の消化管内へ漏出は指摘できず消化管出血は指摘できなかった。
消化管出血を来たした症例では一般的な上下部内視鏡を施行する事が多い。内視鏡で小腸出血が疑われた場合、画像診断やIVRなど放射線科が介入する場合も多い。今回、当院で過去に画像診断し得た小腸出血症例でIVRを施行した2症例について若干の文献的考察を加え報告する。症例1は33歳男性で便潜血を主訴に来院。dynamic CT上では単純CTにて小腸内は淡い高吸収域を呈するが造影剤の消化管内へ漏出は指摘できず消化管出血は指摘できなかった。
症例は55才女性。既往として38才時に子宮筋腫にて子宮全摘されている。両側卵巣は温存。主訴は右下部痛。近くの病院を受診し、MRIにて骨盤に10×6×6㎝大の卵巣悪性腫瘍を疑われ、腸管剥離等からむ手術リスクが高いと考えられたために、手術目的のため当院を紹介された。術前のCTやMRIでは、辺縁平滑な腫瘤が骨盤右側に位置しており一部に粗大な石灰化伴い淡い造影効果を示していた。
症例は糖尿病性腎症にて維持透析中の74歳男性。当院にて胃前庭部の20㎜大の0- Ⅱ c病変に対してESDを施行、手技は大きな問題なく終了した。その翌日に心窩部痛、吐血があり、緊急内視鏡を施行、ESD後の潰瘍より出血があり内視鏡的に止血を行った。同日より発熱が出現し、採血データでは炎症反応高値(CRP30.08)を認めた。CTでは胃壁の肥厚を認め胃蜂窩織炎が疑われた。
症例は50代の男性。バイク事故にて骨盤骨折と左膝蓋骨折の診断で他院に入院中、同日夕刻より腹痛増悪しショック状態となり、翌朝当院紹介受診となった。
来院時、意識レベルJCS-1、KT 35.7℃、BP 92/83 ㎜Hg、P 127/min、腹部膨満と強い圧痛・反跳痛を認め、腸蠕動音は消失。腹部CT にてfree airと腸管気腫、広範な門脈内ガスを認めた。同日、開腹術にて腸間膜損傷と小腸穿孔・壊死を認め、同部位を切除した。
症例は16歳、男性。サッカーの試合中に腹部を蹴られて受傷した。意識レベルはクリアだったが強い腹痛を自覚し、近医に救急搬送された。超音波検査にて膵損傷と診断され当院へ転送となった。当院での腹部CTで、膵周囲には液体貯留を認め、膵体部を前後に横走する索状の造影不良域が認められた。他、腹部実質臓器に損傷は指摘されなかった。